全世代に刺さるMA-1

Z世代を中心に、モノのデジタル化や新しいものよりもビンテージを選んだりする傾向の強いいわゆるレトロブームと「エモい」ものやアナログなものを好んで使う流行が広がりを見せている。今回は年々進化を遂げ続けるMA-1の歴史とその魅力について解説していきたい。

MA-1の発祥

第二次世界大戦中の1940年代にミリタリーのパイロットジャケットとして最初のMA-1が開発された後、ブランドや映画の広がりによって大衆化してきたミリタリーカルチャー。

初めは、当時パラシュートなどにも採用されていた機能性や保湿性に優れたナイロン素材を使った高度で低温な環境でも海軍兵士たちが高いパフォーマンスを発揮するために作られたものだったが1990-2000年代にかけて映画衣装やラグジュアリーブランドのリメイクなどが重なり段々と大衆化していった。

MA-1としてどうしてもセージ色のジャケットが最初に思い浮かぶのは、MA-1で代表的なAlpha Industriesが初めて製作したオリジナルカラーだったことが業界に浸透しているからだろう。

(Alpha Industries MA-1 Jacket 1959)

ブランドとしてMA-1に注目し始めたのはRaf SimonsHelmut Langといった2000年代初頭から名を残し続けるブランドたち。

ベルギー出身のデザイナー、Raf Simonsの2000年SSコレクションではオーバーサイズのMA-1がショーのオープンルックの直後で使われている。

(Raf Simons Spring/Summer 2000 Collection)

オーストリア出身のHelmut Langは独自の異文化経験とミニマルなデザインで一世風靡したが、彼のSpring Summer 1999 collection, Autumn Winter 2003 collectionでもMA-1の存在を確認することができる。

(Helmut Lang S/S 1999 collection)
(Helmut Lang A/W 2003 collection)

コマーシャル化

イギリスのメディアThe GuardianのThe Observer Magazineのアーカイブにも、MA-1ブームの火付け役となったDavid Beckhamが着用する姿が表紙になった。

定番のMA-1に見られる裏地の蛍光オレンジは遠くからでも目視できる色。戦時当時に緊急事態を知らせる合図として、裏地を表面に着用することを義務づけられていたほどだ。

デザインの発展と共にリバーシブルとして認識されるようになったり、フリース素材やレザー、ナイロン以外の素材とのミクスチャーが広がった。

他にも、戦前から航空業界との繋がりが強い高級時計メーカーとして知られるスイスのベルトリングはしばしば広告に自社のMA-1を登場させたものを採用し、戦後ワーキングクラスが20ドルほどで購入する安く着やすいイメージだったMA-1を30年代、40年代前半の「男のロマン」を思わせるラグジュアリーなものにリブランディングしていった。

エディターオススメ!サプライヤーで購入できるジャケット3選。

1.SUPPLIER- CHECKED MA-1

レトロな雰囲気を残しつつ、チェック柄を施したモダンでタフな仕様に。

サプライヤー今季のシーズンテーマとも言えるチェックパターンをボディに。クラシックなMA-1には見られなかった襟を付け加え世代を問わず愛される形に進化させた。

一見かなりボリュームがあるようにも見えるシルエットだが、普段オーバーサイズを着る人にはインナーのスウェットやロンteeの差し色使いに気合が入るサイズチョイスをお勧めしたい。

タートルネックやスタッズや刺繍が襟元にあるシャツで合わせるとワンランク上の上品さがあるコーデに仕上がる。

ブルーとグリーンの2色展開。冬は陽が落ちるのが早いので、グレーや深いベージュなどを取り入れてあまり暗すぎないコーデに仕上げたいところ。

エディターによるトータルコーデの参考は以下。

2.UNKNOWN GRAPHIC PATCHES VARSITY JACKET

ストリートカルチャー好きの心をつかみ続けるUnknown UKからは新シーズンのパッチジャケットが台頭。ゆったりしたフィットでバラエティ豊富なコーデが期待できるマストバイ。

しばしば世間を賑わせてくれるUnknownだが、すでにAWのドロップはチェック済みだろうか?

どこかパンクなところを思わせるイギリス独自のストリートインスピレーションを上手くアウトプットしたジャケットには、ブランド独自のロゴアイコンをアタッチした裏地のこだわりも。

一層オレンジのパンツやニット帽と合わせて派手にいきたい。中途半端に目立つよりも思いきりを心がけたいところ。

エディターによるトータルコーデの参考は以下。

3.FVVO MA-1 DOWN JACKETS

FVVOは、マルチディテールの効いた3WAYのMA-1でアイデンティティを表現。

パラシュートジャケット X MA-1の発想でまさにストリート X ハイファッションを体現したこのピースは背部のプリントとサイドジップが魅力的。

オープンジップでオーバーサイズフィットに、クローズドで身体のラインをより綺麗に見せることができる。少し薄い作りになっているのでロングコートのインナーとして使うこともできそう。中はメッシュ素材でレイヤーが施してあり通気性がよく、春先も使いやすいアイテム。

エディターによるトータルコーデの参考は以下。